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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
と、勝者の軍にいる自分の幸を思い、戴く人を心に仰ぎ直すのであった。
織田上総介信長。
その信長も、血と泥土にまみれた姿のまま、間米山の中腹に見えた。そこの床几から数歩を距てた地上を今、数名の足軽たちが、鋤鍬を持って、大坑を掘りにかかっていた。坑のまわりには高く土が盛り出されていた。
二千の首級は、一つ一つ検分された上、やがて、その坑へ投げこまれてゆく。信長は合掌して見ていた。周囲の将士も、粛然と口を結んだまま立ち並んでいた。
誰も念仏一ついわない。
しかし、武士が武士を埋葬する最高な礼式をもって、それは行われたのだ。坑に入る首は、これからも生きてまた戦ってゆく武士に、何ものかを訓え残して行った。どんな小者の首一つでも、いけぞんざいには扱えなかった。森厳な気に打たれずにいられなかった。幽玄な生死の境を足もとに見て人間を――武士の人生を、思わずにいられなかった。
誰も皆、掌はひとりでに、鎧の胸に合わさっていた。土がかぶせられ、塚に盛られ、気がつくと、雨後の大空には、美しい虹が懸かっていた。
そこへ、一隊の物見が帰って来た。
これは田楽狭間を潰滅させると直ぐ、大高方面へ偵察に向けられた隊である。