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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

貴公も、眼をつける所へ、よう眼をつけるのう」

「いや、眼の早いのは、おぬしに敵わぬ。――山淵右近へ、それと眼をつけたのも鋭いが……」

「あいや、待った」

藤吉郎が、口を抑えるまねをすると、犬千代も快活に、

「あはははは。いわぬが花か。いうては味ない。いうては味ない」

と、手をたたいて笑い合った。勿論、いえば、寧子の名が出るところであった。

使いに出た若党のごんぞはやがて帰って来た。その後から酒が届き、肴なども届いた。

犬千代が帰りかけると、

「ちょうど、酒が届いた。一献召してお帰りやれ」

藤吉郎はひきとめた。

「せっかくなれば」

と、犬千代も腰をすえ直して、遠慮なく馳走になっていた。しかし、この酒や肴を設けて待った当夜の客は、一人も見えなかった。

「はて。誰も来んなあ。……ごんぞ、どうしたものじゃろう」

藤吉郎が、ごんぞを顧みて、こう噂すると、犬千代が側からいった。

「木下。おぬしは、御普請に関係しておる棟梁たちや、人夫の頭どもを、今夜招いておったのか」

「さればよ。何かの打ち合わせもせねばならず、また、三日の間に、工事を仕終すには、大いに、士気も鼓舞せねばならぬから――」