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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁

青空文庫

朝の間、ちょっと、太陽を見たが、そのうちにまた、乳いろの霧が、全山全軍、すべての視界をつつんだ。

「憎ッくい痴れ者め。領土へ帰った後、小兵衛一族を、火あぶりにしても、なお、あきたらぬわ。……おのれ、覚えておれ」

成政は、果てなく、地だんだを踏んで、前後の大軍を見まわし、進むべきか、引っ返すべきか、ほとんど、立ち往生の様子だった。

午頃。やや霧がうすれた。そこで彼は、

「それっ、この間に、敵の鳥越城へ急げ」

とばかり、士気を励まして、山地を脱しようとしたが、行けども行けども、山は尽きず、かえって、いよいよ狭い谿谷へ迷いこんでしまった気がする。

「待てよ……? おかしい」

山絵図をひろげ、つぶさに、四顧の地勢と考え合わせてみると、どうやら加賀境をうしろに、越中の西端、五位山から梨ノ木峠へ、向いつつあるように思われた。

翌日。兵を派して、猟師小屋を探させ、道をただしてみると――ここ二日間の彷徨は、まったく目的地とは反対な方角へ向いて、うろついていたことがわかった。

成政は、怒髪天をついて、また、小兵衛を罵った。そして、自身の不覚を、転嫁して、

「これまでの辛苦をなめながら、いかで、手をむなしく引っ返すべき。