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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁

青空文庫

若き日の幸村

若き日の幸村

「理不尽な、徳川」

「こうなれば、一戦あるのみです。何の、大国とて」

「沼田を北条に明け渡し、上田城一つとなってから、難題をいわれて、その期に、自滅を招くよりは」

「われら小勢ではあるが、高原信濃の地勢をもって、冬まで持ち支えれば、四囲の情勢も変って来よう」

「いやいや、家康も名将、この夏中に、揉みつぶさんと、一挙に大兵をさし送って参るにちがいない。――その覚悟と備えをもたねばならぬ」

上田城に集合した真田一族の軍議の空気は、一も二もなく主戦的であった。

誰もが、これ以上、大国の隷属あつかいに頤使されるよりは――と、堪忍の緒をやぶった顔つきだ。

しかし、上田、沼田の二領地をあわせても、すべてで兵は二千人、侍は二百足らずという貧弱さである。

今日の徳川は、既にきのうの徳川ではない。この小をもって、よくかれの強大と戦えるだろうか。

事、その問題となると、心細さは、誰の面上にもあった。

城主、真田昌幸、老臣赤庄伊豆守、高槻備中守、小池淡路守。侍頭、根津長右衛門、大熊源右衛門。丸子衆の東条又五郎、米沢大隅守。それに、客臣の板垣修理之助などがいたが――その中でひとり、すずやかな容子を持っていたのは、城主の次男、真田弁次郎幸村だけだった。