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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁

青空文庫

内と外

おそらく、かれの夫人や母堂や、ほかの局の女性たちからも、一せいに、非難と糾弾の矢をあびせられたにちがいあるまい。――けれどまた、かつては、かれ自身も、少年日吉とよぶ流浪児だった。永徳には、秀吉のその気もちが、まるきり分らないこともなかった。

内と外

秀吉はここ一ヵ月ほど、大坂城にあって、内政を見、外治を計り、そして私生活にも充分、楽しみつつ、小牧役の難局を、時には、ひと事みたいに、客観もしていた。

七月中に、かれは、ちょっと美濃へ往復した。そして八月半ばとなると、

「余り長びくは、おもしろうない。この秋には、一おもいに、片づけてしまわねばならぬ」

と、再び、大出陣のふれを発した。

その出陣を、明後日にひかえて、本丸の奥では、猿若能の笛や太鼓の音がしていた。時々、どっと笑いやまぬ大勢の声もきこえた。

「しばしのお別れに……」

と、秀吉が特に、猿若舞の上手を招いて、老母を主賓に、夫人を客に、そのほか城中の家族たちを皆、招待して、一日の楽しみを、共にしたのである。

その中には。

秀吉がいま、温室の花として、三の丸の秘園にその育ちを待っている三人の姫もいた。