輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁
二つの世間
が、奥では。
いや、石川家の奥も表も台所も、すべてといった方がいい。
諸所に、かすかな紙燭をともして、身まわりの品をまとめた幾ツもの行李を、侍に渡しては、そっと、馬の背に積むやら、数正の妻を始め、息女や、侍女たちが、各※(二の字点、1-2-22)、身がるな旅支度を急ぎおうていたり、また台所では、三、四十人前もの弁当をこしらえて、これも侍たちで背負い分けるやら、この大家族が遠国へ夜逃げ同様に立ち退くためには、いくら事前に、手廻しよく準備しておいても、いざとなると、容易ではない。
すでに、きのう、おとといにわたって、石川家では、数ある家人召使の大部分に暇を出していた。家財は船で三艘も、先にどこかへ送り出していたが、なお、城中から連れ出した二十余名の人間と、数正の妻子などを加えて約四十名という同勢が、屋敷を捨てて出るとなれば、秘密をつつむその物音だけでも、ただならぬ鬼気が、屋の棟を、墨のように這い漂う。
「佐内、佐内」
門内に、駕籠をひそませ、幾つもの人影が、寒々と、風を避けて、佇んでいた。もう立つばかり身支度して、そこに出ていた石川数正の妻子たちである。