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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁

青空文庫

(いったい、こんなふくみのある芸をするやつは、どこの何者だ?)

と、いぶかる気もちが、秀吉の心のすみにあった。今に始まったことでなく、前々年、北ノ庄陥落のときも、小牧戦の間にも――である。

かたがた、かれの眼は、越後の北端から、上杉家の充実している内容にも、おろそかな見方はしていなかった。

(とまれ、景勝の心をとらえ、上杉の実力を抱擁しておかねばならぬ。われに傾かねば、他日、必ず家康に傾こう。……もし家康の背後に上杉家のもつ地の利と士風の重厚を加えたら?)

秀吉は、つとに、こう考えて、かれらしい触手の機会を待っていたにちがいない。富山入城のすぐ翌日、かれの姿は、忽然と見えなくなった。

郡内一巡という触れ出しで、軽騎二十余の将士をつれ、城外へ出て行ったことは確実だが、たれもそれから先を知らなかった。

――いや、利家や腹心の或る一部は、当然、知っていたろうが、知らぬふりをしていたといっていい。

軽騎二十数名――馬をつらねた中に秀吉もいた。一行は、親不知の嶮をこえ、越後にはいり、越水の宿まで来た。

ここは、糸魚川を去ること遠くない。――一行の中から、木村秀俊が馬を飛ばし、糸魚川へ、先に、使いした。