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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁
「では、御近習を、呼んでほしい」
と、伝右衛門は、ほかの者に会って、容体をたずねた。
ところが、たれの返辞も、あいまいである。のみならず、灯のない侍部屋の人々が、すべて、今し方、隠し門から出て行った一組の人間については、
「ほ。そんなことがありましたか?」
と、何も知っていないのであった。
それから間もない後。
初鹿野伝右衛門は、大股に、城門をうしろに、真っ暗な城下町の方へ歩いていた。
途々、彼は、
「――騎馬をまじえた二、三十名の者が、黙々と、ここを通りはしなかったか。そして、どっちへ向いて行ったか」
を、人に訪ねて、そのあとを辿っていた。
先のいぶかしい人馬の一群が行った先はすぐ分った。柳の馬場を半分めぐって、侍小路へ曲がる濠端の二つ目の辻――そこの大きな角屋敷だった。
「果たして、伯耆どの……」
石川伯耆守数正の官邸――いわゆる城代屋敷なのである。伝右衛門は、門前に立って、憮然とつぶやいた。
「門をかたく閉じ、ここにも、灯影はない。尋常に訪れても、会おうとはしまいが……はて、どうしたものか」
思案が必要だと思った。友情で胸がいっぱいなのだ。畏敬する友であり先輩である。