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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁

青空文庫

「でんかは、つい先程、小姓衆をつれられて、西の丸へ渡らせられた」

とも聞えたので、側近たちが、大廻廊の殿橋をこえて、西の丸との境――お錠口まで行ってみると、一群の小姓たちが、錠口部屋にかたまって、奥へ入った主君のもどりを待っていた。

「今夕は、二の丸で、久しぶり、お局方と御一しょに、お食事をなさると仰せられて、先ほど、お入りになりました。西の丸へお渡りになると、いつも、晩くおなりでいつお戻りやら分りません」

小姓たちのことばである。しかし、それを待っていられない問題だし、一刻も早くと思うので、織田、滝川の二人は、西の丸での謁見を、強いて、小姓から秀吉の耳へ通してもらった。

ところが、

「でんかは、大奥にも、お見えになりません」

という意外な答えだった。

事情を聞くと、たしかに、秀吉は、こよいは久し振りに、奥の女どもと、夕食を共にしようと約束し、西の丸へ渡ったにちがいないが、三条の局だの、お茶々だの、松の丸たちが、もうさっきから、膳部やしとねの用意をもうけ、秀吉の姿を待っているのに、その秀吉は、

(庭を見てくる……)

と、外に出たまま、いくら待っても、戻って見えないというのである。