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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁
「お幾歳じゃな? ……失礼だが」
「十七です」
と、これも、ためらいなく答えて――
「十五の年、安土のお城が亡びてから、美濃の田舎へ帰っていました。先生は、安土のお城のおふすまも描きましたね。わたくしは、あなたのお顔を覚えております」
「え。安土で」
「十二の時から、信長様の大奥に、女童として、お仕えして、秀吉様とも、小牧でお目にかかる前から存じ上げておりました。……ここでまた、先生にお目にかかるとは、ほんに奇縁でございまする」
十七というが、一人前の女性の感じである。肉体的な思春期よりも、頭脳の発達のほうが、先になっているのであろう。天性の美貌と果実を思わすような皮膚の処女色は、いかにも新鮮でみずみずしいが、まだなにか女の甘美なにおいには乏しい。
永徳は、画家らしい観察のもとに、そんなふうに、かの女を見たり、また、秀吉の物好きと、女にあまい言葉にもあきれた。
――天正の式部になれ、現代の新しい納言になれ、などとはいかにもこの少女のよろこびそうな煽動だが、戦の出先の路傍で拾った一少女にも、すぐそんな同情と励みを約して連れ帰るなどは、時の大坂城の主人としては、余りにも、軽々しいといわねばならぬ。