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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
「いやしくも身を武門におきながら、末期に臨んで、妻子兄弟を人質に出して捨て去り、各※(二の字点、1-2-22)身ひとつばかり助からんとするなど、弓矢の人なかには、前代未聞の醜事」
といい、
「醜類の面々、一匹も生けおくな。その妻子眷族も、見せしめのためすべて刑に梟けよ」
と、峻烈を極めた。
彼の憤りは、日本武士道の清節のために抑止できなかった。私憤よりも公憤のほうが大きかったのである。けれどその処分の苛烈が、醜類の敵だけに止まらず、かよわい妻子眷族にまで及んだので、世人はその酷たらしさに、みな面を蔽った。人間の美醜両性、ぜひない世相の一面とはいえ、いまその惨状を筆にするも傷ましい気がする。ざっと誌せば、その折、信長の手に捕われていた敵方の妻女百二十幾人と、その召使の女たち三百八十余人は、すべて、一ヵ所に集められ、鑓、薙刀、鉄砲の類で殺された。――その悲しみ叫ぶ声は、天地に谺して、眼に見、耳に聞いた人々は、十日も二十日もその日の記憶を忘れることができなかったということである。
歴々の上たち、衣裳美々しく粧はれたるまま、かなはぬ道とさとり、並居たるを、さもあらけなき武士たち請取、その母親にいだかせて、引上げ引上げ張付にかけ――