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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
醜ぐさ
と、彼は、秀吉の目前で、焼きすててしまった。
醜ぐさ
――ここで視野を一転しよう。
敏くも、時代の方向を、見さだめたつもりで、中国経略の途中から、突如、主将の秀吉を裏切り、また盟主信長に反抗を宣言して、伊丹の城にたてこもった荒木摂津守村重の孤立化こそ、見ものであり、笑止な存在となった。
(三木城は陥ちない)
彼は、こう見たので、呼応したものであった。
また、
(今に、毛利の水軍が、海路を舳艫相銜んで東上してくる。また陸からは、吉川、小早川の精鋭が播州を席巻し、秀吉をやぶり、諸豪を麾下に加えて、怒濤のごとく中央へ攻めてくる!)
そう固く信じていた。
なおなお、
(同時に、本願寺も起つ)
と思いこみ、
(裏日本からは、丹波の波多野を始め、越前の残党も、あわせてふるい立ち、驕児信長を、中央につつんで、ふくろ叩きとする)
とも空想していたのである。
いや、それは決して、彼の空想だけでもなかった。事前において、毛利家からは、
(かならず、水陸より攻めのぼる)
という誓紙も入っていたし、細目にわたる攻守同盟の約文も交わされていたのである。
ところが。
一昨年六月、叛旗をたてて籠城以来、その秋になっても、毛利は進出して来ない。