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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

――遠国へ追放申しつけらる。

という折檻状を発したのだった。

「何事も、やり出せば、徹底的にやるお方。きっと、まだあるぞ」

とは、みなひそかに、囁き合っていたことだったが、譜代中の譜代、林佐渡がその槍玉にあげられようとは、たれも思いもしていなかったし、当人さえも、寝耳に水であったとみえ、譴責の使者が行っても、

「お戯れではないか」

と、初めのうちは、真に受けなかった程だったという。

それもその筈。――今日、信長が彼を処罰した理由は、いまから二十五年前、信長がまだ清洲にあって暗愚で乱暴な若殿と――四隣からうとんぜられていた頃の旧い問題なのである。

その頃、林佐渡が、彼にあいそをつかし、信長の弟の信行を奉じて、織田家のあとに立てようと謀んだことがある。

「いまだに、あんな昔のことを、深くお心のそこに据えておられたのか」

と、聞く者はみな呆れもし、慄え上がりもした。――二十五年という長い過去を洗いだてすれば、どんな者にも、多少の過失や怠慢は各自に必ず思い出された。

また、同時に追放された安藤伊賀守父子の罪案も、十四年前の旧いことだった。

信長が、伊勢へ出馬したとき、その留守に、甲州軍を引き入れようと計ったらしい形跡があったのである。