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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
けれど昔を語る潮焦けのした老人は、まだたくさん田舎に生きていた。
「もっと多くの話を彼らから聞いておけばよかった」
と、長じて後は、惜しいことをしたと、秀吉も思い出すことがあったが、とにかくそうした人々が、民間に語り伝えて来た海外知識もまた、決してばかにできない下地を持っている。
いわんや堺、平戸そのほかの海港と、呂宋、安南、暹羅、満剌加、南支那一帯の諸港との往来は、年ごとに頻繁を加えて来るし、それが国民一般の宗教に、軍事に、直接生活に、濃く影響し始めてきた今となっては――その政治的重要性からも、信長が多大な関心をもっていたことは、当然すぎるほど当然なことだった。
「…………」
「…………」
この夜。
信長と秀吉とは、世界地図の六曲屏風を前にしたまま、ずいぶん長いこと、黙然と坐りこんでいた。黙想に耽っていた。
何を語りあったろうか。
それはその屏風しか聞いていたものはない。けれど、結論において、ふたりの理想が合致していたことは確かだ。なぜならば、やがて深更、ふたたび暇を告げて別れるに際し主従の面には、これまでにない、もっともっと深い男児の心契ともいえるものが、あきらかに双方の眉宇にたたえられていたからである。