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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

太郎信勝は若年ながら、今、一説を主張していたところである。すなわちここは新羅三郎以来の父祖の地、同じ戦うにも死ぬにも、最後の最後まで、先祖の地でそれをなすべきで、新府を捨てて奔るのは、武田家の名にかけて最大な恥辱だと云い張っていたところだった。

それに対して、真田昌幸は、

「ともあれ、四面すでに敵、甲府は盆地なので、一度敵の侵攻に会っては、湖の底にいて、水をうけるようなものです。この上は、上州吾妻へおのがれあるが然るべきでしょう。三国山脈の一端まで逃げおわせれば、四顧、いずれへ出るも国々はあり、隠るる術もあり、なおお味方を糾合し、御再起の便りもつきましょう」

と、進言していた。

小山田信茂は、また、

「上州方面にもはや、年来、甲州家に宿怨ある輩が、織田の手廻しを迎え入れて、火の手をあげ、道を塞いでいる。お館以下大勢して、無難に通れようとは考えられぬ。如かずこの上は、郡内の岩殿山にひとまず御籠城遊ばし、その上の御思案。そのまにはなお、四散したお味方も馳せ加わりましょうし……」

という献策をすすめた。

長坂長閑も、

「それがよい」

と、同意を示し、勝頼の心もほぼ傾いていたところなのである。