輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

と、ひたすら急いで来たのであったが、女の脚ではあり、物騒な戦地に近づくほど、道も思うまま捗らず、とうとう兄の臨終には間にあわなかったものであった。

「……おゆうであったか」

秀吉が床几の前に彼女の変り果てたといってもいい――旅姿とその面窶れをながめて――こう言葉をかけているとき、官兵衛孝高も小姓たちも、わざと側を外して、幕の外へ出ていた。

「…………」

おゆうは、涙ばかり先立って、いつまでも秀吉を仰ぎみられなかった。旅寝のあいだにも、長い長い戦陣の留守のまも、夢にすら見て恋い描いていた人であるのに、ここに来ては側へも寄れない心地に打たれた。

「……聞いたか。半兵衛の死を」

「……聞きました」

「あきらめい。ぜひもない」

それが秀吉としても、精いっぱいの慰撫であった。

――が、おゆうは、秀吉からそう優しくなぐさめられると、雪解のように、心もなだれて、一度にせぐりあげて来る涙と共に、よよと声を放って、大地へ哭いた。

「よせ、よせ。見っともない」

あわてて秀吉は床几を離れて、何とはなく、立ち上がってしまった。ここに人目はないにせよ、すぐ幕の外に近習たちがいるので、家来の耳を気がねするふうなのてある。