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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
さきに――前日の昼――先鋒部隊を命じられて、山崎まで出ていた高山右近と中川瀬兵衛の陣も、ここから近いのである。
わけて瀬兵衛は、高山右近に先んじられて、山崎の町から関門の閉め出しを喰って、この山之手方面へ陣していたので、忽ち味方の奇兵的行動に感づいた。
「そこの要地たることは、此方とて気づかぬではないが、筑前どのの命令もまたず、みだりに逸まった行動を起してはと、ふかくみずから慎んでいたのだ。――さるを、後方にひかえていた諸隊が、われらにも無断で、先駆けするとは怪しからぬ。その分なれば、瀬兵衛とて、彼らごときにおくれるものではない」
憤然と、旗本数名、銃士わずかを連れたのみで、山麓から数町上の宝寺へ駈けあがって行った。
この道こそ、唯一の登り口で、あとは容易に頂へ行けない樵夫道にすぎない。瀬兵衛は、それを知っていただけに早かった。しかし宝寺の門前まで近づいてみると、もう先に来て、そこの山門の扉を、大声あげながら叩いている一群の武者があった。
「誰だッ。味方か」
瀬兵衛が、声をかけると、山門の下の人影は、振り向きもせず、
「問うもおろか」
と、答えた。
これは堀尾茂助の声だった。