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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
蜂屋隊に代って、神戸信孝の麾下、峰信濃守、平田壱岐守が、新手を出して、明智勢に当った。
伝五行政は、それをも撃砕して、追い退けた。
一時は、当る敵もないような勢いに見えた。
鼕々と、無敵をほこる藤田隊の押太鼓は、信孝の身辺をむらがり守る騎馬の士たちの足なみをも、しどろに乱して脅かした。
ときに、国分佐渡守やほか二、三の部将が、およそ四、五百の兵をひきいて、藤田隊の横から、急に、攻め鉦を鳴らし、喊の声をあげ、さも大軍のように、喚き襲せた。
雲はほの紅いが、地上はもう夕闇だった。藤田伝五は、自身、やや深入りを自省していたところでもあったので、
「右転!」
と、麾を振り、
「曲がれ、曲がれ、どこまでも右へ」
と、急に指揮をかえた。
全軍、円を描きながら、徐々にもとの中軍と合して、手固く戦うつもりだった。
ところが、急に左方から、秀吉の麾下、堀秀政の一手が、猛襲して来た。これは伝五にとっては、地から湧いた兵みたいに見え、
「退く策はない」
伝五は、咄嗟に思い返したが、もう陣容を立て直すいとまもなかった。堀隊は疾風のように、敵を中断し、一方の勢を包囲にかかった。