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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
誰も、直感した。
けれど、その信孝擁立の競争者は、誰もが、信雄であると信じていた。
信長の跡目は当然、信長に殉じて、二条城で戦死した嫡男信忠の次弟たる信雄か信孝にゆくであろうという見解には、何人も疑う余地のないこととしていたが、その二人のうちの、いずれが立つか、また、支持すべきかは、各※(二の字点、1-2-22)迷うところであった。
信雄、信孝。――共に永禄元年正月生れの今年二十五歳だった。同年にして兄弟というのもおかしなわけだが、この時代の上流家庭にはままあるというよりは普通のこととされていた母系のちがう兄弟なのである。その上、信雄が兄、信孝が弟となっているものの、本当の生誕月日からいうと、弟の信孝の方が、二十日も先に生れていた。故に当然、彼が兄であっていいはずなのに、信孝の母の生駒氏が賤しい家系の女子であったせいか、出産の届け出を怠っていたため、信長の第三子と定められ、遅く生れた信雄の方が、第二子にすえられて来たものであった。
従って、この兄弟は、兄弟とはいえ、骨肉の真情はうすかった。信雄は陰性であり、消極的な性情だったが、信孝に対してのみは、常に反撥を起すような感情をもっていた。