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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
勝家はずけずけ云い出した。彼の言動は、ひとり秀吉にばかりでなく、辺りの諸大名へ共感を求めているという風だった。そして秀吉からいっこう冴えた返答も聞かれないと見ると、なお同様な語気をかさねて、
「追々、時刻もない。評議にかかる前に、御退座を願ってはどうじゃな。それとも、何か御辺の都合でもあるのか。筑州殿」
至極、風采のあがらない秀吉は、式服となっても、大紋の着ばえもせず、列座の中ではどう見てもやはり野生のものでしかない。
位置としてはすでに信長の在世中に、屈指の重職を与えられ、実力としては、中国征攻中も、山崎の一捷でも、充分示されてはいるが、実際に、会ってみると、
(この人が)
と、むしろ聞いていた名声や想像を裏切られるくらいなもので、深くその人間にふれてゆけばともかく、ただの眼で、いわゆる一見した程度では、この者と不測の時代を共に進み、生涯の大事を一緒にするなどということは、考えものだという気を起すほうが、むしろ常識として無理もないといってよい。
一見、直ちに、さすがはと、その人らしく見られる者では、滝川一益など風采奕々たるほうで、一流の武将とうけとるに誰も吝かとしないであろう。