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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
行く先も頻りと多い。
公卿の第宅、会合、視察、そして近来は、紫野へと度々出向く。
そこでも尨大な工事をやらせていた。寺である。大徳寺の地域のうちに、新たにもう一寺を興しているのだった。
「十月の七日までぞ。八日には掃除片づけを終り、九日には式事一切の調えをすませ、十日の朝方には何もすることないようにしておけや」
蜂須賀彦右衛門と弟の羽柴秀長にはかたくこういってある。何の工につけ、期限は二言とないものだった。
やれ、といわれたら、否といえず。はい、と受けたら、爾後の云い訳はゆるされない。
秀吉のすがたが見えても、ここの奉行や督励している侍たちは、彼をふり返る者もない。また、何千の木工、土工、左官、石工、あらゆる工匠や人夫たちも、一顧しているすきもなかった。
秀吉は、かんな屑を、足にからませながら、そこここと、木の香のあいだを一巡し、
「できる。できる」
独りつぶやきつつ上機嫌に馬へ移って立ち帰ってゆく。帰るや否、そこにも訪客や政務や――また、今とりかかっている総見院建立と、故信長の葬儀準備の用向きが山積して待っている有様だった。
「由己。はようせい」
「はい」