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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁

青空文庫

一、かくのごとく申し談じ候上は、表裏抜け公事これあるべからざる事。

右の条々、もし偽りこれあるにおいては、日本国大小の神祇、殊に八幡大菩薩、愛宕白山摩利支尊天、べつして氏神の御罰、深重罷りかうむるべきもの也。

仍つて起請文如件。

羽柴筑前守秀吉

毛利右馬頭殿

吉川駿河守殿

小早川左衛門佐殿

恵瓊が謹んでそれを秀吉の前へもどすと、秀吉はうしろの侍臣たちへ向って、

「白い小皿を持って来い」

と、命じ、さらに硯筥をこれへと求めて、恵瓊の眼のまえで書判を誌した。そして白い小皿のうえに左手の小指をかざし、刃をあてて血しおを出し、書判のわきへさらに血判を加えた。

「かたじけのう存じまする」

恭しく押しいただいて恵瓊が納めると、秀吉はさらりと打ちくだけて、めでたいめでたいと繰り返し、侍臣へむかって、

「さらば、吸物を」

と、酒、土器を促して、一献酌み、使者にも酌して、また受けた後、

「土器は手前にて納めておく」

と、祝の寸儀をすませた。

安国寺恵瓊は、すぐ辞して、毛利の本陣へいそいだ。毛利の筆元拝見の使いとしては、大知房という陣僧が彼に従いて行った。

大知房も程なく毛利三家連名の起請文をうけ取って帰って来た。