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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
秀吉はほっと一と安堵したような眉を見せた。これで初めて全力を一方へ注ぐことができると確信を得たような面持でもある。
強行軍は続けられた。人馬も旗も濡れて、みな雑巾のような姿となってゆく。雨は折々小やみにもなったが疾風は終日やまない。
西片上まで来て、さきに別れた本軍と合し、一方は船坂越えから姫路へ急行したが、秀吉はそこの嶮を避けて船で赤穂へ上陸した。
船問屋の灘屋七郎右衛門の家で小憩みして、またすぐ陸路を姫路へ急いだ。この途中でも秀吉は、度々陣輿と馬とを乗り換えたが、輿の内では正体もなく鼾をかき、馬上でも居眠りをし、幾度か落馬したということである。
こうして彼がわが城たる姫路に帰り着いたのは、八日の朝であった。全軍は、昨夜のうちに着いたのもあり、この朝、前後して着いたのもあって、ほとんど揃った。泥土を浴び、大雨疾風を冒し、一日二十里も歩いた軍馬は、ここへ来ると皆もう綿のようになっていて、思い思いの場所を選び、ともあれ一睡をとるに急であった。
姫路の居城は、沸き返すような騒ぎである。手の舞い、足の踏むところも知らずという有様だ。留守居の面々は、城門、玄関、その他へ走り出て、主の秀吉を、歓呼のうちに迎え入れると、そこにも此処にも、