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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

小田原の北条。

甲州の武田。

駿府の今川だの、北越の城下城下などを、ずっと見て来て感じたことは、

(今に、世のなかは、大きく揺れだして、大変な変り方をするぞ)

と、いうことだった。

今までの、小さな、内輪揉めみたいな戦乱とちがって、日本全体の姿勢を立て直すような、正しくて大きな戦争が、これから起るという予感だった。

(――すると、俺だって)

と、密かに、彼は思った。

(俺は若い、これからだ。――世のなかは、足利幕府の、年寄の仕事にだれてしまい、混乱してしまい、老衰してしまっている。若い俺たちを、世のなかは待っている!)

漠然と、そんな考えを抱いて、針イ――、針イ――と呼びあるいて来た。

北陸から、京都、近江とまわって、一わたり世間の風にふかれて、元の――尾張を過ぎて岡崎へ来たのは、ここの城下に以前、父の弥右衛門の身寄りがいたと聞いていたので、それを頼って来たのであった。

といっても、決して、日頃は親類や知るべを頼って、衣食の方法を受けようなどと、さもしい考えを出す彼ではなかったが、この夏の初めから、食中にかかって、ひどい下痢をわずらいながら歩いて来たつかれと、かたがた、中村の家の様子を聞きたいために――であった。