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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
ある時は根津の旗亭での食事。
ここで、一言筆者が申したいのは現今、どなたの稲舟研究にも、十九で死んだことになっているが、わたしは二十三歳と信じていた。ずっと前に書いた小伝にも根拠があって二十三と書いたのだが、この稿をはじめる時、あまり他の年譜を信じすぎて、自分の思いあやまりかと諸説にしたがい、末年を十九にとったために、年に無理が出来て来た。で、美妙が錦子の肩上げを見たところは十七であったが十八にしていただきたい。もっとも、錦子の生れた地方も、他の、みちのくの国々とおなじに、丸年で――満幾歳で数えていたとすれば、こじつけられないこともない。
写真も古い『文芸倶楽部』に出ていたのは、何処やら野暮くさいが、二十三の春にうつした婚礼の丸髷のは、聡明で、しとやかで、柔らかみがあり、品のある顔と、しなやかな姿だった。
さて、傍見をしないで、急ぎましょう。
十九になった錦子は、小暗い木蔭の道路での、美妙斎の肘の小突き工合や、指の握りかた、その他のあしらいの荒っぽさや、丁寧さが、女の心を掴むのに、活殺自在であることを、なんとなく感知した。
側にいても、身が縮まるような悦びは、それはもう、とうに過ぎさった日となった。