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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
悲しかった別れの人、それは京大法科の学生だったが、大阪の銀行にはいった人だった。
あの人たちは、モルガンが、こんなに良くしてくれるのを知って、わたしを幸福に暮させようとしてくれたのかも知れない。
そう考えると、お雪はホロホロとした。言葉もわからない外国へわたしをやってしまうなんてと、怨んだ事も、馴れて見れば、今日のような日もある――
お雪の心は、悲しいほど柔まっていた。
一生をモルガンにまかせて、何処ででも果よう、国籍は、もう日本の女ではないのだという覚悟が、はっきりした。
「パリと異って、こんな明いところでも、そんなに淋しいのですか。そのうちにまた京都へ行きましょう。」
モルガンは、お雪が望郷の念に沈んでいるのだと思って慰めた。
「いいえ、決して淋しくありません。」
どういたしまして、心淋しかったのは、かえって京都にいた時ですとお雪は言いたかった。それは、モルガンがお雪と結婚して米国へ一緒に立ってから、一年ほどして、京都へ遊びに帰った時のことだった。南禅寺の近く、動物園のそばの、草川のほとりの仮住みの別荘へ、
「あんた、油断してはならへんがな。」
と注進するものがあって、風波が立ちかけたことがある。