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とうきょうじんのだらくじだい
東京人の堕落時代
杉山 萠円
線上閱讀杉山 萠円《東京人の堕落時代(とうきょうじんのだらくじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 頁
婦人への戒厳令
。
それは大正十二年の九月一日であった。
読者は記憶しておられるであろう。大正十二年九月一日の大震火災後一二ヶ月の間、東京市中に婦人の戒厳令が布かれた事を。勿論それは公式のものではないが、当局の達示によって自警団員が夜間婦人の外出を禁ずる旨を布告てまわった。
婦人への戒厳令
「新宿、品川、吉原等の遊廓は潰れた。その他の醜業屋も大部分は焼けてしまった。各券番は休業した。東京のあらゆる街々は、夜になると飢えた狼が横行するに任せてある……」
といったような風説、又は事実が口から口へ、又は新聞紙上にあから様に伝えられた。それ程に震災後の東京は飢えていた。この飢に堪え得たものは教育ある上流人士よりほかにない。否、その上流の男女があの震災後如何に身を護りかねて来たか……堕落して来たかは前に述べた通りである。況んや下層社会に住む職業婦人がどうして身を護り得よう。
ライスカレー一皿で要求に応ずる女が震災直後に居た事は前に述べた。その後東京市中の秩序が回復して来るに連れて、そのライスカレー一皿の価十銭が五十銭となり、一円となり、五円となって来たことは云う迄もないが、しかし、それは只高価になった迄の事である。