輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

とうきょうじんのだらくじだい

東京人の堕落時代

杉山 萠円

線上閱讀杉山 萠円《東京人の堕落時代(とうきょうじんのだらくじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 頁

青空文庫

ABCの秘密

「どこでもそうかね……」

「さあ……手前共では特別にMの字をよく仕入れますが、いくら仕入れましても無くなりますので……Mという頭字の付くお名前の方が余計においでになるからでも御座いましょうか、エヘヘヘ」

「じゃ、一番売れないのは何の字だね」

「さあ……さようで御座いますね……LだのQだのは全く売れませぬので、最初から仕入れませぬが、そのほかで売れませぬのは……サア」

と、彼はピンを一渡り見渡した。

「只今残っておりますのはP、A、E、J、Y、X……」

「いや、どうも有難う」

記者は安ネクタイを一つ買ってそこを出た。

それから記者は、一町ばかり行く間に、Mという字が特別によく売れるわけを考えるともなく考えたが、とてもわかりそうにもないのでやめにした。

そんな事をすっかり忘れたまま、一週間ばかり過ぎた。

ABCの秘密

天気のいい午後であった。

秋の西日を背中に受けながら、記者は上野動物園の杉木立に這入った。

日当りのいい、人糞に遠い、という条件の処に一つの平石を見つけて、腰をかけて、杉の木に倚りかかりながら居ねむりを始めた。これは、そのころ記者に出来ていた習慣で、毎日是非一度やらなければ頭の工合がどうもよくなかった。