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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

線上閱讀梅崎 春生《桜島・日の果て・幻化(さくらじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 頁

青空文庫

「あいも勝気過ぎって、不幸な女でな」

「泊って、女中の産地らしいですね」

「そや昔の話ですよ。あしこは近頃鰹の不漁のために人口が減る一方でね、そこに紡織工場が眼をつけち、娘さんたちをごっそいと雇って行く。その勧誘係りたちが何組もここに泊るが、聞いてみると、今の娘たちは女中になりたがらん。みんな工場を希望するらしいですな。泊だけじゃなく、この坊の若者たちも――」

主人はふたたび立って、海にむかう窓を開いた。五郎も傍に立った。

「この坊の家々も、全部舟子屋敷でな。みんな鰹漁によりかかって、生活していた。それがだめになったから、さびれる一方ですな」

だんだんさびれて、峠を隔てた二つの部落は人口が減り、ついに消失してしまう。五郎はそんなことを考えていた。しかし主人の語調は淡々として、感傷の気配は微塵もなかった。

「鴉だけが殖ゆる一方です」

「どのくらいいるんですか?」

「約二千羽。あそこに棲んどる」

主人は右の方の山を指した。

「今は少し減っておるかも知れん。魚の量が減っていますでのう」

主人は窓をしめ、座に戻った。盃を手にして、じっと五郎の顔を見た。

「あんた、誰かに追われとるのじゃなかか。