輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
線上閱讀岸田 国士《火の扉(ひのとびら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 頁
井出夫人とピヤノ
一
が、それもせんじつめれば、井出夫人その人の魅力にほかならなかつた。
井出夫人とピヤノ
一
「たゞいまア……。つい道草を食つちまつて……」
裏の炊事場から、買物袋をさげたまゝ、しきいぎわへひざをついて軽く会釈をしたのは、井出康子である。
そう大柄ではないけれども、均整を保つてよく伸び/\と育つたし体を、ちよつと華奢にみえる真つ白な薄い皮膚がつゝんでいるのは、なにか血統に、特別なものが混つていそうに見えるが、顔だちは、むしろ多分に東洋的で、それも、やゝ厚いくちびるのおのずからな結び加減、黒いまつ毛の中のうるんだひとみ、殊に眼じりの切れの細く長く切れ上つたあたりまで、全体に、表情の深い静的な美しさを、あくまでも特色としているようである。
「お帰んなさい」
毎日繰り返される内々のあいさつは、礼儀という重い一面をかなぐり捨てゝいる。乃婦と百々子の口が同時に機械的に開く。
「お夕飯は何にいたしましようね。もう何時ごろでしよう?」
腕時計が当てにならないらしく、康子は十畳の間へ置時計を見に行く。
義妹の百々子はスカートは寒いと云つて、ジャケツにズボンをはいているのに、康子は、ズボンのひざが出てしまつたからと云つて、一張らのツーピースを惜しげもなくおろしてしまつた。