輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
線上閱讀岸田 国士《火の扉(ひのとびら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 頁
五
「あら、そうですか? あたくしはまた、そのつもりでおりましたのに……」
「名義は、ちやんと父の名になつてますよ」
「でも、お亡くなりになる前に、そうおつしやつたんですもの――お前にはなんにもやるものはないから、この屋敷でもつてね。へえ、名義はまだ変つておりませんか?」
「土屋さんにそう言つて調べておもらいなさい。いやねえ、どうも変だと思つたわ」
土屋さんというのは、父が後事を託した弁護士である。
こういうふん囲気のなかで、康子は、安閑としていられるはずはない。たえず追い立てられるようなその日を送つているのである。
彼女は、別に今更、この家屋敷に未練があるわけではなく、最初からあてにしていた財産でないだけに、どうなつたところで、それはいゝとして、たゞ、すぐにもこの家を出て、また以前のように自活の道をたてるということが、なんとしてもおつくうなのである。それは自分ながら、不思議な変りようであつた。理由は、せんじつめれば、なにをする張合もなくなつた、ということであつた。
五
時には、鏡の前で、妙にどんよりとくすんだ自分の顔色をみて、ギョツとすることがある。こんなことでどうするのかと、みずから気を引き立てるように、わざと念入りに化粧をして、強いておどけた笑顔を作りなどするのであるが、ひとみが一瞬、なまめいたつやをおびるか