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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《火星の魔術師(かせいのまじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 頁
この燻んだようなバー・オパールの雰囲気とは凡そ正反対な、俗にいう眼の覚めるような美少女がまるで手品のように忽然と現われたのである。呼鈴を押したのだから誰かが現われることはあたりまえなのだが、その少女があまりにも私の好みを備えすぎていたせいか、ふと手品を連想したほどであった。
夢幻織のワンピースが、まるで塑像をみるように、ぴったりと体の線を浮出さしていた、そして、その艶々と濡れたような円らな瞳を、ジッと私に灑ぎかけていた。しかし一ト言も口をきかなかった。『いらっしゃいませ』もいわないのである。それでいて、私はその瞳の中から柔かい言葉を、いくつか囁かれたような気がしたのであった。
彼女は、私の注文を聞くと、一揖してくるッと背後を向き、来た時と同じように四つ足半の足巾で、ドアーの奥に消えて行った。
と同時に、私は思わず外聞も忘れてホッと溜息をついた。が、この美しい彼女の歩き方には、何処となく少々ぎこちないところがあったように見えたのだが、それは、後で思いあたったことである。
地底の研究室
「ふっふっふっ……」
鷲尾老人は、そう忍びやかに笑うと
「だいぶ、参ったようですナ」