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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《火星の魔術師(かせいのまじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 頁

青空文庫

「なるほど……」

喜村は、感嘆したように頷いて

「しかし、そんなことがよくわかったね?」

「それは君、犬のお蔭だよ」

「犬の?」

「うん、昨日からの三つの例に、いつも犬がいた、そして、その時に限って犬が急に落着きがなくなったり騒いだりした、だから僕は、もう一度実験しようと思って二匹の犬を借してくれ、っていったんだけど、その前に今の騒ぎが起ったんで万事解決さ……」

「どうして、ゲンたちにはわかるんです?」

美都子が口を挿んだ。

「つまりね、耳がいいんですよ、人間にはとても聴こえない毎秒八万振動ぐらいの音まで、犬には聴こえるんです、だからあの眠り音波が唸り出すと、五月蠅くって仕様がないんでしょう、それでそのたびにワンワン吠て怒るんです……僕達には、何んにも聴こえないのに犬が騒ぎ出す、というのから逆に考えて超音波を思いついたんですよ、だから都会生活というのは、犬にとっては人間以上に五月蠅いもんでしょうね」

「まあ……」

彼女は、そういって眼を見張ってから

「あら、左の眼が膨れてますわ、湿布したら……」

と、痣を見つけてしまった。

村田は、美都子に、その膨れぼったい眼を湿布されながら、はじめて、テレたように笑っていた。