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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《火星の魔術師(かせいのまじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 頁
叔父はどんどん入って行った。中野も続いて行った。
あの、慶子ソックリの美女を造る整形外科室と聞いて、中野は、一段と眼を欹てながら、ドアーを潜った。
まだ奥にも部屋があるらしいが、その最初の部屋は、一寸病院の診察室といった感じだった。しかも、最早美女の施術は終ったのか、傍らの椅子に、ずらりと並んでいるのは、あまり人相のよくない男たちで、突然入って来た中野の方をじろじろ流し見ては、何か小声で囁きあっていた。
細川三之助は、一向そんなことには頓着なく、奥でカルテを見ている白衣を着た禿頭の老人の所に行くと、しばらく何かぼそぼそと話しあっていたが、やがて、その二人は、何か頷きながら中野を麾ねいた。
「え、なんですか……」
「一寸、ここに寝てくれんか」
傍らの手術台のようなものを指した。
「えっ、こ、ここへ?」
「いやか」
「いやですよ、何処も悪くないです」
「今更いやじゃ困る。これを頼もうと思ったから、黙って連れて来てやったんだ……」
「ど、どうするんですか」
「どうもせんよ、一寸モデルになって貰えばいいんだ」
「モデル――?」
途端に中野は、すっかり意味が飲み込めた。向うの椅子に、ずらりと並んでいる人相の悪い連中が、美男型の中野ソックリの貌になろうとしているのだ。