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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《火星の魔術師(かせいのまじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 頁

青空文庫

ものである、ということを申させて下さい、つまりここに三センチの線があれば、僕たちは一般に短い線だというでしょう、しかしそれは一センチの線に比べれば、瞭らかに三倍も長い線です、僕たちは一般にその大きさというものを考える時、同様のものの一群を考えて、それの平均と比較している習慣がついています、僕の高さは五尺二寸、だから一寸の五十二倍もあります、しかし背位は低い方です、なぜなら僕は学校の同級生と隊列を作った時に、真ン中よりも後の方になるからです、結局大きさは絶対ではありません、いつも相対的な仮りのものです、この机の厚みが一インチある、差渡しが四十センチある、或いは又高さが二尺六寸ある、つまりそれは仮りに定めた「物指」というものとの相対的な心覚えにしか過ぎません、僕たちは、宇宙というものを宏大無辺ということと同義語のように使って怪しみませんが、しかしその宇宙を一っ欠けのビスケットと見るような、より大きな世界が、無いとは断言出来ないことではありませんか。もしその巨人が、このビスケットのかけらを細分して行ったならば、遂にはそれはビスケットではなく多くの原子になるでしょう、そしてその原子の一つは、太陽という一つの核を持ち、水星、金星、地球、火星、木星、土星、それから天王星、海王星と呼ばれている八つの電子のぐるぐる廻っ