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わたくしのあゆんだみち
私の歩んだ道
蜷川 新
線上閱讀蜷川 新《私の歩んだ道(わたくしのあゆんだみち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,458 字 · 24 頁
私はそのあいだに、漢学を清田先生に学び、英語を無名の先生に習い、また特に数学の先生について、代数や算術を学んだ。私の母は、親切に私を養育した。「一大人物となるよう。」にと、母はいつも私をはげました。母は私に、わが家の昔からの歴史を、よく説ききかせた。また、維新当時の事情を、よく話された。
私が五歳のときに、空中にものすごい帚星があらわれたが、母は深夜、私を庭につれだして、そのおそろしい大きな星を指さし、「あれが、西郷の怨霊だと、みんなは言っている。」と、私にきかせた。私は、まだほんの五歳の子どもであったが、永年、かき消すことのできないほどの強い感じを、そのときに受けた。七十四年をへた今日でも、その大きな、かがやいた彗星とその場面とは、私の眼に映っていて、消えさらない。
私はある日、母につれられて、小石川の大学植物園へいった。十歳ぐらいの時であったろう。母は私にむかって言った。「ここは、蜷川家の下屋敷であった。明治元年三月から十月までのあいだ、一家は二人の旧臣と数人の下男下女とともに、この屋敷に住まっていた。その五月には、彰義隊の敗兵数名がこの屋敷に逃げこんできた。