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わたくしのあゆんだみち

私の歩んだ道

蜷川 新

線上閱讀蜷川 新《私の歩んだ道(わたくしのあゆんだみち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,458 字 · 24 頁

青空文庫

一 子供時代の教育と精神

一 子供時代の教育と精神

私は、明治六年に生まれた。そうして七日ののちに、父をうしなった。私は、父親を知らない人間である。

私は、駿河の国(静岡県)の海岸の袖師で生まれた。興津の隣り村である。私は生まれてまもなく、母にいだかれて東京に移った。母の生家は、徳川時代から神田明神下にあった。母の実父、すなわち私の祖父は、播州(兵庫県)林田の旧藩主であったが、まだ生きていたのであった。母は、その生家の建部家をたよって、東京に出たのである。

私は、一家が無録移住をした駿河で生まれたのであり、生まれながらにして、逆境におかれた不運な一人間であった。

当時の東京は、おごれる薩長人をはじめ、各藩から集まりきたった勝利者の占領地となった直後であった。すなわち、革命後の混乱の社会であった。

私の母は、やがて麹町三番町の実弟、坪内家の邸内に移ることになった。私はそこで、十五歳まで、母とともに生活した。私は七歳以後は、当時から有名な番町小学校に学んだが、学問、思想、行動は、先生から模範少年としてほめられていた。ただし、町の人びとには、いたずら者として、市ヶ谷見附から九段にいたる間の人びとからは、憎まれはしなかったが、評判されていた。