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そうもくちゅうぎょ

艸木虫魚

薄田 泣菫

線上閱讀薄田 泣菫《艸木虫魚(そうもくちゅうぎょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,254 字 · 226 頁

青空文庫

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そんな通がりの多い中に、日根対山は食味通として、立派な味覚を持っている一人だった。対山は岡田半江の高弟で、南宗画家として明治の初年まで存えていた人だった。

対山はひどい酒好きだったが、いつも名高い剣菱ばかりを飲んでいて、この外にはどんな酒にも唇を濡そうとしなかった。何かの会合で出かける場合には、いつも自用の酒を瓢に詰めて、片時もそれを側より離さなかった。

ある時、土佐の藩主山内容堂から席画を所望せられて、藩邸へ上った事があった。画がすむと、別室で饗応があった。

席画の出来栄にすっかり上機嫌になった容堂は、

「対山は酒の吟味がいこう厳しいと聞いたが、これは乃公の飲料じゃ。一つ試みてくれ。」

といって、被布姿で前にかしこまっている画家に盃を勧めた。

対山は口もとに微笑を浮べたばかしで、盃を取り上げようともしなかった。

「殿に御愛用がおありになりますように、手前にも用い馴れたものがござりますので、その外のものは……」

「ほう、飲まぬと申すか。さてさて量見の狭い酒客じゃて。」容堂の言葉には、客の高慢な言い草を癪にさえるというよりも、それをおもしろがるような気味が見えた。