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そうもくちゅうぎょ

艸木虫魚

薄田 泣菫

線上閱讀薄田 泣菫《艸木虫魚(そうもくちゅうぎょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,254 字 · 226 頁

青空文庫

かまきり

の持ち続けである。何の変化もなく悔悟もない一本調子の生活ほど、気をいらだたせるものはない。日を重ねるにつれて唐辛の癇癪がいよいよ手におえなくなり、その皮肉がますますするどくなるのに何の不思議があろう。

かくして唐辛は、いつもあんなにぷんぷん怒りどおしに怒っているのである。そして偉大なる太陽もそれをどうすることが出来ないのだ。

今はもう三十年のむかしにもなろう。私が二十歳足らずの頃、早稲田鶴巻町のある下宿屋に友達を訪ねたことがあった。狭い廊下を通りかかると、障子を明けっ放しにした薄ぎたない部屋に、一人の老人が酒を飲みながら、声高に孟子を朗読しているのがあった。机の上には、小皿に唐辛を盛ったのが置いてあって、老人は時々それをつまんで、鼠のように歯音をたててかじっていた。

「誰かね、あの老人は。」

「あれが田中正造だよ。鉱毒事件で名高い……」

私はそれを聞いた瞬間、あの爺さんのはげしい癇癪を、唐辛のせいのようにも思ったことがあった。

かまきり

秋草のなかにどかりと腰をおろして、両足を前へ投げ出したまま日向ぼっこをしていると、かさこそと草の葉を伝って、私の膝の上に這いのぼって来るものがある。