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うしすてばうますてば

賤民とは何か

喜田 貞吉

線上閱讀喜田 貞吉《賤民とは何か(うしすてばうますてば)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,870 字 · 229 頁

青空文庫

の語を隠して、十に足らぬ「十無い」だと、隠語で云ったのが本であろう。上方地方ではエタのことを隠語で「ヨツ」と云った。エタは非人で、人間仲間ではない、畜生である、四ツ足であると云う意味だとも、或いは獣類すなわち四ツ足を喰う為だとも説明されているが、おそらくこれもやはり「八」と云う言葉を隠して、半分の「四ツ」と云ったのではないかと思われる。しかしそれらはいずれももとは通じてエタと呼ばれたので、エタも、御坊も、ハチも、本来は差別はなく、いずれも落伍者たる非人法師の徒であったにほかならぬ。

非人法師はもちろん法師の徒ではあるが、もともと社会の落伍者としての自度の法師で、かの三善清行の指摘した如く、家に妻子を蓄え、口に腥を啖い、形は沙門の如く、心は屠児の如しと言われた破戒法師であった。それで時には餌取法師とも呼ばれ、前記の如く真言宗や天台宗の如き貴族宗では、非常にこれを嫌って寄せつけなかったものであったが、しかしまた一方では、毫もこれを忌まぬ宗旨もないではなかった。念仏宗門すなわちこれである。阿弥陀如来はいかなる極重悪人でも、ことごとくこれを極楽に摂取するというのである。