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うしすてばうますてば

賤民とは何か

喜田 貞吉

線上閱讀喜田 貞吉《賤民とは何か(うしすてばうますてば)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,870 字 · 229 頁

青空文庫

この際においてただ屠者すなわち餌取の輩のみは、その殺生を常習とする事から、相変らず旧来の習慣を墨守して、これを喰うことを避けなかったが為に、自然と一般民から疎外せらるるに至ったのは実際やむをえなかった。はては自身屠者ならずとも、一般に牛馬を食するものはこれを賤称して餌取と呼ぶことにまでなって来た。「今昔物語」に見ゆる北山及び鎮西の二つの餌取法師の話の如きも、畢竟牛馬の肉を食する俗法師を呼んだものである。そのエトリが訛ってエタとなった。かくてその思想がだんだんとこうじて来て、鎌倉時代には一般の肉食殺生の常習者をも時にエタとも非人とも呼ぶことになった。漁家の出たる日蓮聖人が自ら「旃陀羅」すなわち屠者の子なりとも、また「畜生の身」なりとも言われたのはこれが為である。

かくの如き時代において、もはや人間の用をなさぬ老牛馬の処分の事は、一般民にとってかなり厄介なものであったに相違ない。ここにおいてか牛捨場馬捨場なるものが生じたのだ。家に飼養する牛馬が斃死した場合において、自らこれを処理するの法を知らず、またこれを処理すれば「穢れ」がその身に及んで神に近づく事が出来ぬというような迷信のあった時代において、これをある特定の場所に委棄するという事はやむをえなかったに相違ない、ただに斃牛馬のみならず、もはや使役に堪えなく