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うしすてばうますてば

賤民とは何か

喜田 貞吉

線上閱讀喜田 貞吉《賤民とは何か(うしすてばうますてば)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,870 字 · 229 頁

青空文庫

8 国司の悪政と新賤民の輩出

源頼朝天下の政権を掌握するに及んでは、国法上では賤民である筈の源氏の家人等は、事実は一国或いは数国の守護となり、或いは多くの公領荘園の地頭となり、いわゆる大大名となった。けだし一人の跨に入りて、万人の首を超えたのである。

しかしながら、これあるが為にすべての家人や侍の地位が、相率いて高くなったのではない。その主が失敗すれば、その家人や侍は一層堕落の境遇に置かれるのはやむをえなかった。勝者たる源氏の家人が勢力を得た陰には、敗者たる平氏の家人が没落したのは言うまでもない。主人の身分が高ければ、その家人の身分も高く、主人の身分が低ければその家人の身分も低い。徳川時代になっても、幕府直参の武士は「御家人」と呼ばれて、これは立派な士族であるが、一方百姓にも譜第の家人があって、それは「下人」として賤しまれ、今に下人筋等と云って、社交上にも或る場合には疎外されるのを免れない風習の地方もないではない。

8 国司の悪政と新賤民の輩出

平安朝における政治の紊乱が、令制の賤民を解放して、新たに武士という、名義上では賤民であっても、その実平民以上にいるような、奇態な新階級の勃興を見るに至ったが、それと同時に一方には、国法には認めていなかった浮浪民なる新賤民が、またはなはだ多く起って来た。