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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁

青空文庫

「では、明夜の手筈、ぬかりなく心得たであろうな」

と、立った所で、四人の者を見廻した。

あだかも、自己の家来でも頤使するように、

「こんどこそ弦之丞めを刺止めてしまわねば、絶大な恥辱じゃ。近く同志の公卿や、西国からも諸大名の密使が、ある打合せのために、徳島城へ集まろうとしている。この秋にこそは、いよいよ天下多端、風雲急ならんとしている時じゃ」

少し話がそれてきたが、有村の熱と気魄にひき緊められて、なんとなく森厳な気もちにさせられた。

「その大事を目睫にひかえて、先にもいったとおり、殿には無稽な伝説などに囚われて、心神衰耗の御容態、また折も折に、俵一八郎の死と築城中の出丸櫓の崩壊とが暗合したので、いよいよ気を病んでいられる。そんなことから、もし倒幕の鋭気がくじけるようなことにでもなっては、一天のおんために、また悪政の釜中にあえいでいる下々のためにも、悲しむべきことといわねばならぬ」

こういう意味のことは、さっきから密議のうちにもたびたび聞いた。と四人は少しくたびれを感じたが、三位卿の話には、いちいちこの慷慨淋漓が必要であった。

「せめて天堂一角。早く、弦之丞を討ったという快報でももたらしてくれれば、少しは、殿の気色も引き立とうかと、心待ちにしていたが、いつまで何らの沙汰もないので、もしもまかりまちがって、この場合