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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁

青空文庫

……四郎二郎の錦小路の館を、六波羅の討手攻め滅ぼした際に、戦場から遁がれて身をかくしたが、こやつを捕えて訊ねたならば、宮方一味の輩の姓名、人数もわかろうというところから、姥はさがしにかかっておるのさ」

いつか盲人は群集に雑って、範覚の言葉に耳を立てていた。

肩を落とし首を垂れた、それは寂しそうな姿であった。

「土岐蔵人頼春といえば、六波羅、北面ひっくるめての、美男の武士だということじゃの」

と、もう一人の武士が呟くように云った。

「さよう、美男の武士でござる」

と、もう一人の武士が相槌をうった。

ずんぐりと肥えた赧ら顔の、鷲っ鼻をした武士であった。

「拙者頼春を存じております。……というのは数回逢ったからで」

と、鷲っ鼻の武士は云い足した。

と、盲人はその武士の側に、同じ姿勢で立っていたが、ソロソロと身を引き歩き出した。

その素振りに鷲っ鼻の武士は、何やら審かしさを感じたらしかった。

身をかがめると盲人の顔を、編笠の下から覗いて見た。

「や、貴殿は? ……」

と、云ったとたん、盲人の手が電光のように延びて、その武士の太刀の柄へかかった。

「わッ」

キリキリと舞って虚空をつかみ、やがてすぐに大地へ仆れ、のたうち廻り、間もなく息絶えた。