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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁

青空文庫

そういう姥の眼は水盤の面に、食い入るように注がれていた。

「白い高い柱のようなものじゃ。そいつがユラユラと歩いて来るのじゃ。……その後から子を抱いた女が一人、その後から盲目の男が一人、その後から白い猩々が一匹、間をへだてて従いて来るのじゃ」

「人間ではないのか、柱なのか? ……柱が歩くとは変ではないか?」

「だから変な物といっているのじゃ! ……おかしいのう、どうもわからぬ」

「姥にもわからぬ事があるのかのう」

「わしと同じくらいの術者なら、わしより優れた術者なら、そいつのやる仕業は、わしにはわからぬよ」

「姥より偉い術者などあるものかのう」

「なければよいが、あるような気がする」

「飛天夜叉! ……飛天夜叉の桂子!」

「あいつにはこの頃、後手ばかり食うよ」

「大仏陸奥守様の陣中でも、ひどい後手を食ったのう」

「わしやお前の身に変身されて、とんでもない騒動を起こされてしまった」

「その後へ行ったわれら二人の、疑がわれようというものは!」

「冷遇され方というものは!」

「思っただけでも腹が立つわい!」

「ほうほうの態で逃げ帰ったわい!」

「白い高い柱のようなものが、飛天夜叉めの変身じゃとすると、姥うっちゃってはおけぬのう」