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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁
それにしてもその姥の足もとの辺に、ヌクヌクと体をあたためながら、縞蛇ややまかがしが渦を巻いてい、その側にその蛇を恐れようともせず、数匹の蝦蟇が腹這ってい、少し離れた枯れ草の中に、山猫が二匹金の眼を光らせ、黙然と焚火を見詰めてい、その側に立っている櫟の枝に、梟が止まって眠っているのは、いったいどうしたというのだろう?
焚火を慕い、暖気を恋い、集まって来たのだということは出来る。
それにしても老婆がいる。
ではそれらの動物は、この老婆を恐れないのであろうか?
そうとしか思われない。
鬼火の姥は黙ったままで、そろそろたける土釜の中の粥の、香ばしい匂いを嗅いでいた。
だが時々眼窩の奥に、刃物のように光っている眼を、野の一方に押し据えて、じっと何かを見るようにした。
彼女の視線の向けられた方には、荒野と丘とが起伏してい、京へ通う道が通ってい、そうしてそれらを距てながら、日野資朝の別館が、築地に囲まれて立っていた。
二町足らずの距離であった。
華やかに彼女に見えて来るものは、築地の上に盛り上がっている、広大な楼にともされている明るい燈火の色であった。
館では無礼講の乱痴気さわぎが、今行われていなければならない。