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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁

青空文庫

呼び終わると物具を脱ぎ、敵勢の中へ投げ下ろし、腹一文字に掻き切った。

この日も黄昏になった頃、宮方の落人を搦め取れと、武家方の兵ども、高野への山路を、騎馬徒歩にて走らせていた。

と、林から唸りをなして、矢つぎつぎに射出され、見る見る数騎射落とされた。

一旦討手は退いたが、

「敵は小勢ぞ、一人か二人じゃ、探し出して討って取れ!」

と、林の奥へ馳け込んだ。

と、木蔭から徒歩の若武者が、太刀を振ってあらわれ出たが、真っ先に進んだ敵の一騎の、馬の諸足薙いで仆し、落ちるところを討って取り、つづいて十数人を討ちとった。

義光の子息義隆であった。

しかし終日の戦いに、全身十数箇所の傷を受けていた。

(宮様遠く落ちられたであろう。殺生ももうこれまで)

こう思って林の奥を目ざし、敵と別れて走り込み、馬酔木の大藪を背後にし、ドッカと草に坐ったが、鎧通しを引き抜くと、左の脇腹へ突き立てた。

おりからはしって来る足音がし、一人の武士があらわれた。

「敵か味方か存ぜねど、われは村上蔵人義隆、敵ならば首級とって功名にせよ! 味方ならば介錯たのむ!」

すると走って来た武士は叫んだ。