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せかいのいっかんとしてのにほん
世界の一環としての日本
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁
日本でも批評家無用有害論が一つの常識になっている。批評の発達しているイギリスやフランスでも、そういう所信をもった作家は少なくあるまい。批評家無用論はとに角一隅の通俗常識であることを、われわれはゲッベルス君と共に、着眼すべきだろう。そしてそれが、創造的な(?)芸術の崇拝という一種の俗物常識に帰するものであることも、見逃してはならぬ。
創造的芸術や芸術家の崇拝という、ドイツの小市民の芸術的音痴ぶりを利用して、これこそアーリヤ的であり、これこそナチでなければ果すことの出来ぬ「文芸復興」だというのが、ゲッベルス一流の宣伝ぶりなのである。批評家無用論という通俗常識を、これほど鮮かに利用活用し得たということは、正にゲッベルスの大きい功績だ。と同時に、この一種の芸術至上主義が、芸術の社会民衆による批評を無視することによって、如何に芸術上のヴァンダリズムにいたり得るものかということを、示してくれたのも彼である。
滑稽なのは「ユダヤ的」批評という観念や、法律で鑑賞を許可したり命じたりすることではなくて、むしろ批評家無用論に帰するところのナチの創造芸術崇拝論の皮肉な宿命である。