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せかいのいっかんとしてのにほん

世界の一環としての日本

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁

青空文庫

日本の図書館が受験生の読書室に化していることは、無論世間に読書館という施設がないからであるが、その他に、図書館自身が大して研究図書館乃至学術図書館としての実質と価値とを認められていないことが、有力な理由となっている。日本語の書物さえ、学術的な問題観から見て系統的に買ってない。まして外国語の書物になると、ほとんど完全にあてにならないのが現状のようだ。処が日本では今後といえども益々外国語の書物が研究資料として必要欠くべからざるものなのである。この点から見れば日本のいわゆる図書館と名のつくものの全部が全部、素人的な子供用の玩具のような図書館だといっても過言ではない。こういう図書館だけを用いて一人前の研究上の仕事を仕上げることは、特別な場合は別として一般に出来ない相談だ。否研究を仕上げるだけではない。何か時事的な評論一つ書こうとしても、図書館は一向たのみにならないのである。

これは何も図書館だけの特色ではない。日本の博物館もまた、大体お上りさん式の見物に行く処であって、研究に行く処ではない。論文をまとめるために博物館通いをするというようなことは、日本では奇異な現象とさえ見える位いだろう。