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せかいのいっかんとしてのにほん
世界の一環としての日本
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁
風俗壊乱による発売禁止も、実は多分に思想的背景を持っているので、例えば印刷物ではないが、レコード出版物五種類が発禁になったのも、検閲の背後には国民精神作興とか「非常時を忘れるな」とかいうイデオロギーが横たわっていたからである。
内務省警保局の田中事務官は語っている(『都新聞』一九三六年八月十一日)、「結果から見れば最近多少厳重になっていることは否めない。――第一には十年程前迄は検閲の係が小さかったのが、最近では整備されて隅から隅まで行き届くようになったので、従来洩れていたものも洩れなくなったわけで、別に検閲の標準が厳格になったのではない」云々。内務省は図書検閲人件費三万円の特別予算を取ったのである。――尤も日本に於ける発売禁止の数は大して莫大だとは云うことが出来ない。或る筆者によると、世界で一等発禁の本の数の多いのはアイルランド自由国だとかいうことだ。日本はより一層の自由国だということになる。併し発禁の数だけでは何物を語るものでもない。出版物は出版企業の商品だ。出版屋は素人でない限り、発禁になりそうな出版物をそんなにむやみに出す筈はないのである。